電気代から蛍光灯まで。
生活の中で「変わる負担」と家計対策
世界情勢の影響による燃料費高騰や物価高により、生活への影響を実感している方は多いことと思います。2026年度は、各種インフラや制度の改定が進む変化の年。どのような変化が起こり、私たちの家計にどう影響するのでしょうか。暮らしの変化と、明日から取り入れられる対策を生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏に伺いました。
電気代・ガス代は今後どうなる?
知っておきたい背景と省エネ対策
2022年に開始したロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の悪化の影響から、近年上昇が続く電気代・ガス代などの光熱費。政府による補助金などもたびたび実施されていますが、今後も上昇が見込まれます。まずはその原因を整理してみましょう。
負担軽減策は行われるものの「再エネ賦課金」は上昇傾向に
夏や冬は、どうしても光熱費がかさむもの。電気代やガス代の請求を見て、ため息をついたことがある方も多いのではないでしょうか。
家計の負担を少しでも減らすため、政府による電気・ガス代の負担軽減措置がたびたび行われてきました。直近では2026年1〜3月、7〜9月に支援策が実施されています。
一方で、電気代の中に含まれる「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」は2030年ごろまで上昇傾向が続くと見られています。主な理由は、太陽光発電などのクリーンエネルギー導入拡大に伴う「買取費用」の増加と、20年間続く固定価格買取制度(FIT)の長期契約によるものです。買い取りにかかる費用の一部を私たちが負担する仕組みになっているため、電気代のベースラインが上がりやすい状況となっています。

家電買い換えなど、身近な省エネ対策から始めてみよう
今後の光熱費負担を少しでも軽くするために、日常生活の中でできる省エネ対策を押さえておきましょう。
■今日からできる身近な工夫
・エアコンのフィルターをこまめに掃除する(月に1〜2回程度)
・使っていない家電のプラグを抜き、待機電力を減らす
・よく使う部屋の照明をLEDランプに取り替える
長年使い続けている家電がある場合は、思い切って省エネ性能の高い最新家電への買い替えを検討するのも一つの選択肢です。10年前の家電と比べると、現在の省エネ性能は飛躍的に向上しています。
省エネ家電への買い替えにあたっては、お住まいの自治体や国が実施する「補助金制度」や「ポイント還元キャンペーン」が利用できるケースが多くあります。購入前に、自治体のWebサイトなどで対象となる制度がないか確認してみるのがおすすめです。
酒税一本化で「ビール系飲料」の価格差が縮小へ
ビールや発泡酒、チューハイなどの価格に大きく関わってくるのが「酒税」です。ビール系飲料の酒税は、2026年10月に実施される税制改正により、350ml缶あたり54.25円に完全統一されます。
これまで「ビール」「発泡酒」「第三のビール(新ジャンル)」は、それぞれ税率が異なっていたため、「ビール=高価格、発泡酒や第三のビール=低価格」という状況でした。しかしこれらの税率が一本化されることで、売り場での価格差がほとんどなくなる見込みです。
ビール系飲料、これからの選び方はどう変わる?
酒税の統一により、消費者側の選択肢や市場の動きには以下のような変化が予想されます。
・価格を気にせず好みの味で選べる
価格差が縮まるため、純粋に「味」や「ブランド」、または「糖質オフ」「糖質ゼロ」といった健康志向の機能性で選びやすくなります。
・「ビール」の充実と「第三のビール」の個性化
飲料メーカー各社が「第三のビール」に力を入れていた方針を変更、「ビール」が改めて主力商品に返り咲く傾向があります。売り場での価格競争が見込まれる一方で、「第三のビール」や「発泡酒」は個性的な商品が増えたり、機能性で選ばれたり、という方向へとシフトし、安さだけでなく、自分の好みや体調に合わせた商品選びを楽しむ時代へと変化していきそうです。

海外旅行の費用に変化。
出国税は値上げ、パスポート申請料は値下げに
海外旅行を予定している方にとって、渡航に関わる費用の変化は見逃せません。負担が増えるものと減るものがあるため、事前に確認しておくと安心です。
出国税の引き上げとパスポート申請料の値下げ
政府は、2026年7月1日より外国人観光客増加による観光振興やオーバーツーリズム対策の財源として、出国税(国際観光旅客税)をこれまでの1,000円から3,000円へと引き上げました。この出国税は日本人が海外旅行に行く際にも適用され、旅行代金や航空券代に上乗せされる形で家計の負担となります。
一方で、日本人の海外渡航を後押しし、負担を軽減する措置として、パスポート(旅券)の申請手数料は大幅に値下げされています。
パスポート申請は、お得な「オンライン申請」の活用がおすすめ
パスポートの更新や新規取得には、窓口での書面申請と、スマートフォンなどで行う「オンライン申請」で価格差があることをご存知でしたか?
2023年3月から電子申請(オンラインでの切替申請)が開始され、2025年3月からは初めての取得や氏名変更を含む新規申請も全都道府県でオンライン対応となりました。
2026年7月以降は、窓口申請の手数料が大幅に引き下げられるだけでなく、すべての区分(10年有効・5年有効など)においてオンライン申請のほうが「400円安く」設定されています。
マイナンバーカードとスマートフォンを使用することで、24時間いつでもマイナポータルから申請手続きが行えます。これからパスポートを申請・更新する人は、ぜひ活用してみましょう。

【2027年末まで】蛍光灯の生産が原則終了。
今から始めるLED照明への移行準備
ご家庭やオフィスで見かける機会の多い「蛍光灯」ですが、まもなく目にすることはなくなります。
生産終了の理由は「水銀に関する水俣条約」による段階的規制
国際会議での「水銀に関する水俣条約」の合意に伴い、日本国内でも一般照明用蛍光灯の製造や輸出入が、2026年1月より種類ごとに段階的に禁止されます。そして、2027年末までには原則としてすべての蛍光灯の製造・輸出入が終了することとなっています。

早めの「LED照明」への見直しが安心
規制が始まったあとも、すでにご自宅で使用している蛍光灯をそのまま使い続けたり、店頭に残っている市場在庫を購入して交換することは可能です。しかし、今後は蛍光灯自体の流通量が減るため、手に入りにくくなったり価格が上昇したりすることが予想されます。
また、既存の蛍光灯器具にLED ランプだけを装着するのではなく、安全面や省エネ効率の観点から、機器そのものを「LED専用照明器具」に新調することが推奨されています。「蛍光灯が切れてから慌てる」のではなく、定期的なお部屋のメンテナンスや模様替えのタイミングに合わせて、計画的にLED照明への切り替えを進めておくと安心です。
まとめ
物価の上昇や世界情勢の影響により、私たちの身近でもいろいろなものの値上がりが続いています。また、日常生活の中でかかるお金に関しては、パスポート申請手数料のように「知っているとお得なもの」もあれば、蛍光灯生産終了のように、「事前に知っておくことで、慌てず出費を抑えられるもの」もあります。特に光熱費への対策は、日頃のちょっとした工夫に加え、照明のLED化や長年使った家電の買い換えなど、住まいの環境を少しずつアップデートしていくことが長期的な節約につながります。







