子育て世代からシニアまで!
こどもNISA・iDeCo・年金改正で知っておくべき
3つのこと
「貯蓄から投資へ」の流れが進む中、多くの人が利用するようになったNISAとiDeCo。2026年は、この2つの制度に新たな改正が加わり、さらに利用しやすくなります。「何が変わるの?」「自分に関係あるの?」という人のために、2026年の改正ポイントを生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏にわかりやすく解説していただきました。
2026年に大きく変わる!「教育」と「老後」のお金に関する新制度
日本では「貯蓄から投資へ」という大きな流れの中、国が個人の資産形成を後押しする動きが加速しています。その代表例が、広く定着した「NISA」と「iDeCo」です。
2026年はこれら双方の制度に加えて、働きながら年金を受け取る仕組みである「在職老齢年金」においても改正が行われました。
どのような変化があり、私たちの暮らしにどう活かせるのか、まずは全体像を確認しておきましょう。
【教育資金】新たな準備方法として注目!「こどもNISA」
「こどもNISA」とは、0歳〜17歳の子どもを対象とした、最大600万円までの運用益が非課税になる新しい投資制度です。
以前は0〜17歳を対象とした非課税投資制度「ジュニアNISA」がありましたが、2023年末で制度自体が終了。それ以降、NISAは18歳以上しか利用できませんでした。
しかし、2026年度税制改正では18歳未満でも非課税で積立投資ができる制度が創設されました。通称「こどもNISA」と呼ばれる今回の制度は、子どもの教育資金づくりや、将来の金融教育を目的としており、2027年から年間最大60万円(月5万円)まで、長期の積立・分散投資を行えます。

「こどもNISA」の活用方法
子ども自身の名義で積立を行うため、親御さんや祖父母の方が、子どもの将来の教育資金や結婚資金のために長期運用できる制度として期待されています。
学資保険などと違い、12歳以上になれば親権者の同意のもとで引き出すことが可能です。高校進学など、まとまったお金が必要になったタイミングで柔軟に引き出せるのは大きなメリットといえます。
また、マネー教育の一環として「こどもNISAの口座を使用し、子ども自身に投資や社会の仕組みを経験させる」という活用方法もおすすめです。
「こどもNISA」と「学資保険」、特徴を知って使い分けよう
お子さんが生まれたご家庭の場合、教育資金の代表格である「学資保険」と「こどもNISA」、どちらを利用したらいいの? と悩む人も多いのではないでしょうか。この2つには、税制面で以下のような違いがあります。それぞれの特徴をふまえてうまく使い分けるのがポイントです。
■こどもNISA
運用で得た利益(運用益)はすべて非課税です。通常かかる約20%の税金がかかりません。また、年間最大60万円利用できますが、この金額であれば祖父母が孫のために資金を贈与しても基本的には贈与税の対象外です(贈与税は年間110万円までは非課税)。
■学資保険
受け取った満期保険金が、それまで支払った保険料を上回る場合、その差益(増えた分)は「一時所得」として課税対象になります。ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、運用の差益が50万円以下であれば、実質的に税金はかかりません。また、掛金には生命保険料控除が適用されます。
「学資保険」は「こどもNISA」に比べると大きく増えにくいものではありますが、元本割れのリスクは少ないもの。また、そもそも保障や確実性を重視した「貯蓄型の保険」であり、「親に万一のことがあれば以後の保険料が免除される」というメリットがあります。リスクを少なく教育費を準備したい方、万が一に備えた保障が欲しい方は学資保険を、他の生命保険などで保障は既にあるという方、柔軟に資産運用したい方は「こどもNISA」を選ぶ、という使い分けが考えられます。
【老後資金】さらに安心!「iDeCo」と「在職老齢年金」の対象拡大
老後資金を自分で積み立てながら運用する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と、働きながら老齢厚生年金を受け取る際に適用される「在職老齢年金」の制度も、改正が行われました。
より長く、多く積立可能に!iDeCoの制度改正
2026年12月に実施されるiDeCoの法改正により、掛金の上限額が大幅に引き上げられました。
これまでは、自営業者に比べて会社員(第2号被保険者)の上限額は、「月2万円〜2万3,000円」と低く押さえられていましたが、今回の改正によって月最大6万2,000円まで積立可能に※。より多くの老後資金を、税制優遇(積立時の所得控除など)を受けながら準備できるようになりました。
さらに、iDeCoの加入可能年齢が「65歳から70歳」まで拡大されたため、長く働き続けるシニア世代にとっても、心強い資産形成の味方となります。
※会社員の方への注意点:上限額は、お勤め先の「企業年金」の導入状況(企業型DCや確定給付企業年金:DBなど)との合算額になります。ご自身の上限額については、お勤め先の総務や年金担当の部署にご確認ください。

iDeCoと似た制度
「企業型確定拠出年金のマッチング拠出」との違い
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、会社が従業員のために掛金を積み立て、そのお金を従業員自身が運用して、老後資金を準備する企業年金制度です。
この企業型DCを導入している会社では、従業員が自分の給与から掛金を上乗せして積み立てられる「マッチング拠出」を利用できる場合があります。「原則60歳まで引き出せない」「将来、年金または一時金として受け取る」という点ではiDeCoと同様になります。
基本的に「iDeCoへの加入」と「企業型DCのマッチング拠出」は併用できないため、お勤め先に企業型DCがある方は、どちらを利用するか選ぶ必要があります。
それぞれ「手数料をどちらが負担するか(企業型DCは原則会社負担)」や「選べる金融商品のラインナップ」に違いがあるため、よく比較・検討してみましょう。
iDeCoと退職金は「受け取り方」で総額の差が!
知っておくべき「10年ルール」
iDeCoで積み立てたお金は、以下の3つの方法から受け取り方を選択できます。
①まとめて一括で受け取る(一時金)
②分割でコツコツ受け取る(年金)
③一部を一括で受け取り、残りを分割にする(一時金+年金)
ここで注意したいのが、お勤め先から「退職金」も一緒に受け取るケースです。
2026年の税制改正により、退職金とiDeCoを重複課税なく(税負担を軽くして)受け取るための間隔が、従来の「5年」から「10年」へと延長されました(いわゆる「10年ルール」)。
受け取る順番やタイミングによって税金の金額が大きく異なり、手元に残る金額(手取り額)が変わってきます。受け取り時期が近づいてきたら、ご自身にとって最も負担が少なくなるパターンを把握しておきましょう。
【シミュレーション例】
<前提条件>
・定年退職年齢:65歳
・勤続年数:30年(65歳時点) ➔ 退職所得控除額:1,500万円
・会社からの退職金(一時金):2,000万円
・iDeCo加入年数:20年(65歳時点) ➔ 退職所得控除額:800万円
・iDeCo運用残高(一時金):500万円
・額面の合計:2,500万円
受け取り方法による手取り額の違いは、以下のようになります。
※退職所得控除は、退職金(iDeCoも対象)にかかる税負担を軽くするため仕組みで、勤続年数に応じて一定の金額を差し引くことができます。
パターン①
iDeCoと退職金を「同じタイミング(65歳)」で受け取る場合
・iDeCo(65歳):500万円|退職金(65歳):2,000万円
・合計手取り額:約 2,392万円(税金合計:約108万円 ※所得税と住民税の合計、復興税などは除く)
【ポイント解説】
同じ年にまとめて一括で受け取る場合、退職金控除(1,500万円)をオーバーした差額1,000万円の半分である「500万円」に対して所得税・住民税が課税されます(税金約108万円)。税率が上がりやすくなり、税負担が最も重くなります。
パターン②
iDeCoを65歳で受け取り、
退職金を「10年遅らせて75歳」で受け取る場合
・iDeCo(65歳):500万円 |退職金(75歳):2,000万円(勤続40年に増加)
・合計手取り額:約 2,500万円(税金合計:0円)
【ポイント解説】
65歳時点で受け取るiDeCo(500万円)は、自身のiDeCo専用の控除枠(800万円)に完全に収まるため無税です。
さらに、75歳で退職金を受け取る際には、「10年」の間隔が空いているため、退職所得控除がリセットされます。また、働く期間が10年延びて勤続年数が40年になるため、退職所得控除枠が2,200万円まで拡大し、退職金2,000万円も無税となり手取り額が最大化します。
パターン③
退職金を65歳で受け取り、
iDeCoを「10年遅らせて75歳」で受け取る場合
・退職金(65歳):2,000万円 | iDeCo(75歳):500万円
・合計手取り額:約 2,460万円(税金合計:約40万円 ※所得税と住民税の合計、復興税などは除く)
【ポイント解説】
この場合は65歳での退職時に、退職金への所得税・住民税が発生します。退職所得控除が1,500万円のため、オーバーした500万円をもとに税金が計算されます(税金約40万円)。ですが、iDeCoを75歳まで据え置いて10年間隔を空けることで、パターン①に比べて税負担を大きく抑えることができます。
※試算作成 小宮崇之(株式会社コミヤ保険サービス)
【シニア世代がより働きやすく】
「在職老齢年金」の基準引き上げ
「在職老齢年金」とは、60歳以上で働きながら老齢厚生年金を受け取る人について、給与(賞与含む)と受給する年金の合計額が一定額を超える場合に、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止(カット)されてしまう制度です。
2026年4月から、この、年金が減額され始める基準額が緩和され、「月51万」だった在職老齢年金の上限が、「月65万円」へと大幅に引き上げられました。
これまでは「年金がカットされてしまうから、働く時間をあえてセーブしよう」と考えていた高齢者の方も多かったため、シニア世代が意欲を持ってより長く働き続けやすくする目的で実施された改正です。
まとめ
年々、改正や対象拡大などが続くNISAやiDeCoをはじめ、現代は「老後のお金は、自分たちで能動的に準備していく」という側面が大きくなっています。制度が新しく、そして便利に変わるからこそ、ただ貯蓄するだけでなく「わが家はどの受け取り方がお得になるか」「子どもの教育費にこどもNISAをどう組み込むか」を考えるきっかけにしてみてください。
まずは「わが家はどの制度(こどもNISAやiDeCoなど)から始められそうか」や「お勤め先に企業型DCはあるか」など、身近な確認から始めてみるのがおすすめです。制度を上手に活用しながら、対策をしていきましょう。







