骨粗しょう症を予防しよう!
今日から始める「貯骨」習慣
骨密度が低下し、骨がもろくなる「骨粗しょう症」。特に年齢を重ねるにつれてリスクが高まりますが、実は20〜30代の過度なダイエットや、更年期以降のホルモンバランスの変化など、あらゆる世代に関係しています。骨は、何歳からでも新しくつくり変えることができます。
最近では、このように丈夫な骨を育て、維持することを「貯骨(ちょこつ)」と呼ぶことがあります。医学用語ではありませんが、将来の骨の健康を守るための考え方として注目されています。
将来も元気に歩き続けるため、今日から「貯骨」を始めてみませんか。
骨は何歳からでも変えられる!
今日から始める「貯骨(ちょこつ)」
骨粗しょう症とは?「骨がスカスカになる」メカニズム
骨粗しょう症とは、骨の量(骨量)が減り、骨の中の密度(骨密度)が低下してスカスカになることで、骨がもろくなる病気です。
厳密には、「骨量」は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラルの量を指します。一方、「骨密度」は、単位面積(cm2)あたりの骨量(g)で、骨の詰まり具合を示すものです。どちらも骨の強さを保つために重要な指標として使われています。
実は、骨は一度つくられたら終わりではなく、日々、“古くなった骨を壊し、新しい骨につくり変える”を繰り返しています。これを「骨代謝」といいます。古い骨を「破骨細胞」が壊した後、新しいコラーゲンがつくられ、そこにカルシウムが定着することで新しい骨がつくられる仕組みです。
この骨を壊す働きとつくる働きのバランスが崩れ、壊すスピードが上回ると、骨密度は徐々に減少していきます。その大きな要因の一つが、女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。特に女性は更年期以降、エストロゲンが急激に減少し、骨を壊す働きが活発になるため、骨密度が減少しやすくなります。骨粗しょう症が更年期以降の女性に多いのは、この女性ホルモンの変化が大きく関係しています。
ただ、骨密度が減少する理由は一つではありません。加齢による体の変化に加え、低栄養や運動不足、痩せすぎ、生活習慣病など、さまざまな要因が骨代謝に影響します。そのため、骨の健康は高齢者や更年期女性だけの問題ではありません。若い世代でも骨密度が低下することがあり、年代によって骨を守るために意識したいポイントも異なります。

20代・30代でも要注意!
「痩せすぎ」に潜むリスク
過度なダイエットや栄養不足、激しい運動などが原因で、20~30代でも骨密度が低下することがあります。特に女性は、体重減少によって月経が止まる「無月経」に注意が必要です。無月経が3カ月以上続く場合は、女性ホルモン(エストロゲン)が十分に分泌されていない可能性があり、骨密度低下につながることがあります。
また、痩せすぎると骨にかかる体重(荷重)が減り、骨をつくるための刺激も少なくなります。
健康のためにも、BMI18.5以上25未満を目安に、適正体重を維持することが大切です。
【年代別】 貯骨のポイント
骨量は思春期に大きく増え、20~30代ごろに人生で最も多い状態(最大骨量)を迎えます。そのため、若いうちにできるだけ骨量を増やしておくことが、将来の骨粗しょう症予防において重要です。
では、年齢を重ねてからではもう遅いかというと、そんなことはありません。骨は年齢に関わらず代謝を繰り返しているため、食事で必要な栄養素を摂り、適度な運動で骨に刺激を与えるなど、生活習慣を整えることで骨量の減少を緩やかにすることができます。特に骨量が急激に減りやすい更年期以降は、「増やす」から「できるだけ減らさない」へと意識を切り替えることが大切です。
■子ども~10代:骨量をしっかり増やす
■20~30代:最大骨量を維持する
■更年期以降:急激な骨量減少を抑える
■高齢期:骨量を維持しながら骨折や転倒を防ぐ
貯骨は何歳から始めても遅くありません。今の年代に合った方法で骨を守ることが、将来の健康につながります。
あなたの骨は大丈夫?骨の健康セルフチェック
骨粗しょう症は「折れるまで気付きにくい」
骨粗しょう症は「沈黙の病気」ともいわれます。骨密度が低下しても痛みなどの自覚症状はほとんどなく、多くの人は骨折して初めて気付きます。さらに怖いのは、一度骨折すると次の骨折を起こしやすくなる「骨折の連鎖」です。特に大腿骨などの大きな骨を骨折すると、手術や長期間のリハビリが必要になり、寝たきりにつながることも。そのため、骨粗しょう症予防の根本的な目標は、「骨折を防ぐこと」にあります。
まずは、自分の骨の状態を知ることから始めましょう。

骨の健康セルフチェック
こんな変化はありませんか?
□ 若いころより身長が3cm以上縮んだ
□ 背中が丸くなってきた
□ 姿勢が悪くなったといわれる
これらは、背骨の圧迫骨折などが起きているサインの可能性があります。特に、20~30代ごろと比べて身長が3cm以上縮んでいる場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。
「骨密度検査」で骨密度を測ってみよう
骨の健康状態は、見た目だけでは分かりません。まずは一度「骨密度検査」を受けて、自分の骨が今どのような状態にあるのかを知っておくと安心です。骨密度検査は、整形外科などの医療機関や、自治体の骨粗しょう症検診などで受けることができます。
骨密度は、骨が最も健康な20~30代の平均値(YAM)を100%として比較します。
・80%以上 : 正常(今の習慣をキープしましょう)
・70%以上80%未満 : 骨減少症(骨量が減り始めている「黄色信号」の状態。今すぐ生活習慣を見直すことで、改善できます)
・70%未満 : 骨粗しょう症の疑い(医療機関で適切なアドバイスや治療を受けると安心です)
骨密度が十分にあれば数年後に改めて確認し、低い場合は食事や運動などの生活習慣を見直すなど、自分の状態に合った対策につなげることができます。
まずは現在の自分の骨の状態を知ることが、「貯骨」の第一歩です。
骨を丈夫にする三大栄養素
「カルシウム・ビタミンD・ビタミンK」
丈夫な骨づくりに欠かせないのが、毎日の食事です。特に意識したいのが、骨の材料となる「カルシウム」と、その働きを支える「ビタミンD」「ビタミンK」の3つの栄養素。それぞれの役割と多く含む食品を見ていきましょう。
■骨の材料になる「カルシウム」(乳製品・大豆製品・小魚)
カルシウムは骨や歯をつくる材料です。不足すると、血液中のカルシウム濃度を保つために骨からカルシウムが溶け出し、骨量が減少しやすくなります。
牛乳やヨーグルトなどの乳製品はもちろん、豆腐や納豆などの大豆製品、小魚などにも多く含まれています。最近ではカルシウムを多く含んだヨーグルトなども販売されているので、毎日の食事に上手に取り入れると良いでしょう。
■カルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」(魚・キノコ類)
カルシウムを摂っても、吸収されなければ骨づくりには生かせません。その働きを助けるのがビタミンDです。ビタミンDは鮭やサンマ、イワシ、キノコ類などの食品から摂取できますが、実は体内でつくることもできます。皮膚に紫外線が当たることで生成されるため、適度な日光浴の習慣も大切です。
■骨にカルシウムを定着させる「ビタミンK」(納豆・青菜)
ビタミンKは、吸収されたカルシウムを骨へ定着させる働きを担っています。
比較的食事から摂りやすい栄養素で、納豆やほうれん草、小松菜などに豊富に含まれています。特に納豆は、カルシウム、ビタミンK、たんぱく質をまとめて摂ることができる優秀な食材です。最近ではビタミンDを添加した商品も販売されており、毎日の「貯骨」をサポートしてくれます。

骨は「刺激」で強くなる!すぐできる「貯骨習慣」
習慣① 日光を上手に浴びる
丈夫な骨づくりに欠かせないビタミンDは、食事から摂るだけでなく、日光を浴びることで体内でもつくられるため、適度に日光を浴びることが大切です。
日光浴の目安は、首都圏付近では夏は15分程度、冬は30分以上。ただし、季節や地域、天候などによって条件は異なるため、体調や生活習慣にあわせて無理のない範囲で取り入れましょう。
紫外線が気になる人は、手のひらを太陽に向ける「手のひら日光浴」もおすすめです。手のひらはメラニン色素が少ないため、顔や肌全体を日焼けさせなくても、手のひらに日光を当てることでビタミンDの生成を促すことができます。
習慣② 骨に「重さ」と「衝撃」を与える
丈夫な骨づくりには、骨に適度な刺激を与えることも大切です。骨は、体重などの「重さ(荷重負荷)」や、歩いたり跳んだりしたときの「衝撃(衝撃負荷)」を受けることで、骨をつくる働きが活性化します。
激しいスポーツをする必要はなく、例えば、「1駅分歩く」「エスカレーターではなく階段を使う」「ウォーキングを習慣にする」「軽いジャンプや縄跳びを取り入れる」など、日常の中で骨に「重さ」と「衝撃」を加える機会を増やしましょう。
「かかとトントン体操」で骨に適度な刺激を
手軽にできる骨活運動の一つが、「かかとトントン体操」です。背筋を伸ばして立ち、かかとを持ち上げてつま先立ちになったあと、「トン、トン」と軽くかかとを床につけます。かかとから骨に適度な刺激が伝わり、骨づくりを促します。
目安は10回を1セット、1日3セット程度。特別な道具が必要なく、家事の合間やちょっとした待ち時間など、すき間時間にも取り入れられます。
※勢いよくかかとを床に打ちつける必要はありません。骨や関節に痛みがある人や転倒が心配な人は無理をせず、机や椅子につかまりながら行うなど、安全に配慮しましょう。
習慣③ 骨と一緒に「筋肉」も守り、転倒を防ぐ
骨折を防ぐためには、骨だけでなく筋肉を維持することも大切です。筋肉量は40代ごろから減少しやすくなり、筋力が低下すると転倒のリスクも高まります。また、筋肉が少ないと、転んだときの衝撃が骨に伝わりやすくなることも。
骨を丈夫にすることと、筋肉を維持して「転ばない体」をつくること。この両方を意識することが、将来の骨折予防につながります。日頃から歩く習慣や軽い筋力トレーニングを取り入れ、骨と筋肉を一緒に守っていきましょう。
まとめ
貯骨は、いつから始めても遅くありません。若いうちは骨をしっかり蓄え、年齢を重ねたらできるだけ減らさない。筋力を維持して転倒を防ぐ。年代によってポイントは変わりますが、食事や運動など、今からできることはたくさんあります。毎日少しずつでも「貯骨」を続け、一生折れにくい骨を目指しましょう。







