現役世代に急増中?
脳疲労が引き金となる「スマホ認知症」
「スマホ認知症」という言葉を聞いたことはありますか? 30代から50代の現役世代を中心に増えている、認知症に似た「もの忘れ」などの一時的な認知機能の低下を指します。引き金となるのは、前編で解説した「脳疲労」。名前を思い出せない、簡単な漢字を書けないなど、一見すると単なる疲れに見える場合でも、そのままにしておくと仕事や日々の暮らしに影響が出ることがあります。本記事では、スマホ認知症の実態と、脳の健康を守るための無理のない対策をお届けします。
もの忘れが増えた?
脳の疲れによる認知機能の低下
脳は、日々さまざまな情報の「整理整頓」を担っています。しかし、現代人は、スマホやパソコンを通してネットやSNSなどの膨大な情報に触れる時間が長い上、仕事や家事をマルチタスクでこなすことも多く、脳が休まる暇がない状態です。この状態を「脳疲労」といいます。
「脳疲労」の大きな原因の一つが「スマホ」です。スマホを通して絶え間なく情報が流入して脳の処理能力が限界を超えると、脳が正常に情報の「整理整頓」を行うことができなくなり、一時的に認知機能が低下します。このため、もの忘れや思考力の低下といった認知症のような症状が出ます。これが「スマホ認知症」です。
高齢者に多く見られるアルツハイマー型認知症と異なり、「スマホ認知症」は30代から50代の現役世代にも症状が出ます。アルツハイマー型認知症は、脳細胞が死滅するため回復は難しいのが現状です。対して、「スマホ認知症」は脳細胞の機能が低下しているだけですので、適切な休息を取ることで、脳の機能を回復させることが可能です。
また、併せて脳の機能を鍛える行動を習慣化することで、脳疲労やスマホ認知症の予防にもつながります。

名前が出てこないのは兆候かも
「スマホ認知症」セルフチェック
日常生活の中で以下のような症状は起きていませんか?該当項目がある場合は、「スマホ認知症」の兆候が現れているかもしれません。
「スマホ認知症」チェックリスト
◻︎ 人の顔ははっきりと浮かんでいるのに、名前が出てこない
◻︎ 普段使っているはずの簡単な漢字が思い出せない
◻︎ 仕事の効率が落ち、以前なら定時に終わった作業に残業が必要になった
◻︎ 料理の品数が減ったり、同じような献立ばかりになったりする
◻︎ 新しい情報を覚えたり、学習したりするのが難しくなった
◻︎ 周囲と円滑にコミュニケーションが取れなくなった
特に注意したいのが、コミュニケーションが取れなくなることです。コミュニケーションに関わる領域は脳の中でも緻密な場所であり、疲弊すると気分の落ち込みなど「うつ状態」に似た不調が出ます。気になる症状が続く場合は単なる脳の疲れと軽視せず、早めに医療機関へ相談しましょう。
「脳疲労」をリセット!
スマホと賢く付き合う3つの習慣
「脳疲労」を放置すると認知機能がさらに低下し、将来的に本格的な認知症を発症するリスクもあります。脳が深刻なダメージを受ける前に、以下の習慣を取り入れて脳の疲れをリセットしましょう。
1日5分、スマホに触れず、ぼんやり過ごす時間を持つ
スマホに一切触れず、思考をいったん止めて、風景を眺めるなどぼんやりする時間を意識的に作りましょう。ぼんやりしているときは、脳内の情報を整理整頓する「デフォルトモードネットワーク(DMN)」が活性化することが分かっています。こうすることで、脳内に溜まった「情報のゴミ」が片付き、次に何をすべきかという判断力が回復し、仕事や家事のパフォーマンスが戻るのです。

「すぐに検索する」習慣を見直す
「あの俳優の名前、何だっけ?」など、分からないことを即座にスマホで調べるのではなく、まずは自力で思い出そうと意識してみましょう。自分の人生に役立つ重要な事柄について、文脈や思考回路をたどって「思い出す」プロセスが、脳の神経細胞のつながり(シナプス)を鍛えることにつながり、脳疲労の予防にもなります。

手書きなど、あえて「手間のかかる方法」を選択する
スマホは便利がゆえに、脳を使う機会が奪われがちです。重要な予定やアイデアは紙のノートに手書きするなど、あえて手間のかかる方法を取りましょう。書くという触覚、声を出すことによる聴覚、インクの香りという嗅覚など五感を使うことは、脳に新しい刺激を与える適度な負荷となり、シナプスを鍛えることにもつながります。

まとめ
スマホは私たちの生活を豊かにする便利なツールです。ただし、使い方によっては、心身の負担につながる場合があります。情報は脳にとって「食べ物」のようなものです。食べ過ぎれば体調不良になるように、情報の取り過ぎも脳の疲労や不調につながります。何事も「適度」が大切です。一晩スマホを置くだけでも、翌朝の脳の疲労度は異なります。まずは、5分でもスマホを遠ざけて脳に休息を与えることから始めて、スマホ認知症を予防しましょう。







