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子どもの育つ力を信じる。
だから見守ることが大切

7回にわたってお届けしてきました連載「なるほど!子育てメモ」。今回は、この連載を監修してくださった小川氏のインタビューをお届けします。

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子どもたちの頭の中で、
何が起こっているのだろう?

——「見守る」ことの大切さに気付いたきっかけは何でしょうか。

小川氏(以下、敬称略)
 大学生の時から塾で勉強を教えるようになり、その後、仲間たちと個別指導、つまり子どもたちとマンツーマンで向き合って、中学受験の勉強を教えるようになりました。そうすると集中できる子、できない子、あることに気付く子、気付かない子、この違いって何だろう?一体子どもたちの頭の中では、どんなことが起こっているのだろう?というようなことにだんだん関心が移っていったんです。

 中学受験の現場では、9歳(小4)からどのような勉強をしていくか、テクニック的なことを中心に教えます。しかし、勉強が嫌いな子どもや勉強ができないと思い込んでいる子どもたちに、自信を持ってもらうようにすることは、方法論の外側の話で、とても難しいと感じていました。このお子さんたちが0歳からどう育って9歳を迎えたのだろうと、自然と育ちの背景、学びの背景を強く意識するようになったのです。

教わることより
日々の刺激で成長する

 ちょうど私が個別指導塾を創設した2000年当時は、どうやって子どもが育つのか、脳科学や心理学の発展によって学術的にも理解が深まってきたころでした。
 例えば、子どもは教え込まれたことより、毎日の中で出会う刺激によって成長することのほうが、はるかに大きい。簡単に言うと、「子どもは勝手に育つ」ということですね(笑)。
 では、その勝手に育つ子どもたちを、周りの大人はどう支えればよいのか。そう考えたとき、子どもが何に刺激を受け、何に興味を示しているのか、まずはしっかり「見る」ことが大切なのだと気が付きました。そして見て、理解した後、 どういうことをして「守って」あげることができるか、つまり見守るとは「見て」から「守る」ということなのだと気づいたわけです。

——世間でいう「見守る」とは、少し違いますね。

小川
 そうですね。以前は、いや今もそうかもしれませんが、「見守るって、口出ししないってことでしょ」と、子どもが好きなようにするのを、ただ見ているだけの親御さんもいらっしゃいました。これは「見守る」ではなくただの放置です。

 子どもが走りたいと言ったとき、そこが電車の中だったら、親としては子どもに走るのを我慢させなければいけません。でも、好きなように走らせる、それを放置している親御さんは「見守る」を勘違いされています。電車内で走ってはいけない、このことを教えないというのは、社会で生きていく力を奪っているのと同じです。こうした場合「走りたいんだね。じゃあ電車を降りて、公園に行ってからにしようか」と、一度子どもの走りたいという気持ちを受け止めてから、電車の中では走ってはいけないことを教え、また走りたいという気持ちを大切にしてあげること、これが「見守る」ということです。

「見守る」には練習が必要
時間をかけて「見る」力を養う

——放置ではなく、こどもの気持ちを受け止めることが必要なんですね。簡単なようで難しそうです。

 「見守る」ことは、すぐにはできません。できるようになるには練習が必要です。人は自分が見たいようにしか見ることができないので、思い込みなどが邪魔をして、なかなか素直に「見る」ことができないのです。ですから繰り返し、時間をかけて「見る力」を養っていくことが大切なのです。

 お友達のパパ、ママで、子どもとの接し方がとても上手な方って、周りにいらっしゃいませんか。こうした親御さんを見て、ご自身と比較したとき「親としての才能がない」と感じてしまう方が少なくありません。でも、実はそうではなくて、その親御さんもこれまで練習してきたか、もしくは近くにお手本となる先輩パパ、先輩ママがいらっしゃったはずです。親になるのは才能ではありません。練習をすれば、徐々に身についていくものなので、焦らずに向き合ってほしいと思います。

話し合いの中で見つけていく
子育ての方針

——これまでたくさんのお子さんとそのご家庭をご覧になって来て、最近の親御さんに感じる変化のようなものはありますか。

 日本の今の社会では、わが家の教育方針、家訓みたいなもののあるご家庭は、少ないと思います。そのため、どう育てていくかの基準になる「軸」が無いままなので、子育てが難しいのだと思います。今の30代、40代の方々は特にそうなのではないでしょうか。社会の価値観が大きく変わってきた時代の中、親とはどうあるべきかなど、お手本となる先輩パパ・ママがいなかったり、逆に前の世代の「いい親」像が今となっては違和感を覚えるものでしかなく、道標が得られないという状況にあるように思います。

——「軸」はどうすれば持てるでしょうか。

 子どもに関わる大人同士、夫婦、学校の先生、友人などで話し合うことだと思います。最近、子どもの起きる時間が10分ずつ遅くなってきたけど、どう思う?など、日常的に子どもの様子を口に出して話すことで、自分自身の価値観、話し相手の価値観、教育に対する考え方の違いなどに気付くでしょう。こうした会話をしていくことで、少しずつ「軸」ができていくものだと思います。

与える子育ては、
早く安心したいという気持ちの裏返し

——今回の連載の中で「与える子育て」をする親が多いとありました。この背景にはどういったことがあるのでしょう。

 SNSや先輩パパ・ママの体験談を聞いて、子どもに何か買い与える、どこかに連れていくなど、子どもに何かを「与える」。このこと自体が悪いわけではありません。しかし、与えたらすぐに結果が出ることを期待する、出なかったらまた別のものを与えるというサイクルに陥ることが問題です。本当は与えた後、子どもの興味はどうだったのか、何を面白がったのか、ちゃんと「見守る」ことが大切なのです。

 与えるだけでは、子どもにとってプラスにはなりにくいですからね。もっとも誤解してほしくないのは、「与える子育て」に陥る方々は、決して子育てをいい加減にしているのではないということです。ただ、早く結果を出して、早く安心したいだけなのです。子育てに不安はつきものですが、この不安に向き合うことに慣れていないのだと思います。見守ることはちょっと時間のかかることだけど、徐々にこちらの路線に変えていこうと声を掛けてあげたいですね。

周りの大人の力を借りる
これも親御さんの役割

 また、お子さんを支えていくことの限界も感じることもあるかと思います。親御さんにできないことは、他人の力、公的支援などの社会の力 を借りなくてはいけないでしょう。これは人によっては、白旗を上げることのように感じてしまう場合もあるかもしれません。恥ずかしかったり、苦痛を感じたりする方もいらっしゃいます。でも、親がその個人感情を乗り越えるからこそ、子どもは子どもなりの人生を歩み、親離れをして、旅立っていくものだと思います。
 本来、周りの力を借りることは恥ずかしいことではありません。日本人は、それが苦手な方が多いと思いますが、周りの力を借りることこそ、親御さんの役目だと思います。

——コロナ禍で子どもを取り巻く環境が大きく変わりました。子育て中の方にメッセージをいただけますでしょうか。

 わが子の姿を再発見できたご家庭が増えたのではないでしょうか。忙しい日々のあまり、子どものことを、保育園、幼稚園、学校任せになっていた方も多いと思いますが、子どもと接する時間が長くなったことで、「こんなにしっかりしているの!」「あれ?これはまだできないのかぁ」など、お子さんのあるがままの姿を見られるという意味では、改めて家庭学習の大事さを認識した人も多かったでしょう。

思った以上に疲れている
無理はしないで!

 一方で気を付けてほしいのが、大人は思っている以上に疲れているということです。長期間にわたってコロナ禍が続く中、知らず知らずのうちに、じわじわと心が削られ、段々気持ちに余裕がなくなってきています。でも逆にこんな時だからこそ親が頑張らなきゃ!と頑張っている親御さんが多いように思います。私からのメッセージとしては、「無理はしないで」。もっと頑張らないとだめと思わないでほしいのです。

 リモートワークが続き、たとえば同僚のため息をつく姿を見ることもない。そんな状況でため息を付いている自分。自分だけが疲れているのではないか、自分だけが取り残されているのではないかと不安が募るということも起きています。しかもワクチン接種の進捗が停滞し、感染爆発も止まることがない。だれだって焦燥感に駆られています。「こんなときだから頑張らなくては」と自分自身を勝手に追い込んでしまいがちな状況だからこそ、理性を働かせて、無理しすぎないようにお願いしたいと思います。

——ありがとうございました。

小川大介氏監修の連載「なるほど!子育てメモ」、いかがでしたか。見て、守る「見守る」子育てで、こどもの成長していく力を大きく伸ばしてあげたいですね。
全8回のコラム、ぜひ他の回もご覧下さい。

※この記事内容は、執筆時点2021年9月8日のものです。

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