いざという時の行動を知る
―第3回(命を守る)―

私たちが生活している日本では、さまざまな災害が発生します。地震、津波、豪雨による洪水や土砂災害など。皆さんの災害への備えは、果たして万全でしょうか?自分や家族の命を守るためには事前の準備と行動が大切です。そして、安全・安心は準備に比例します。全4回にわたる本連載では、防災システム研究所所長の山村武彦先生に、今すぐ防災対策を行うことの重要性を伺います。第3回は、災害時の身の守り方や避難など、「命を守るための行動」についてお伝えします。

監修:

山村 武彦

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地震から命を守る行動(家の中)

■家で揺れを感じたら「安全ゾーン」へ

家にいる時、緊急地震速報が鳴ったり、地震の小さな揺れを感じたりしたら、直ちに地震安全ゾーンへ退避します。
安全ゾーンとは、ガラスから離れ、転倒落下物の少ない閉じ込められない場所。一般家庭だと玄関です。玄関はものが少なく、いざという時脱出できる場所です。机の下に身を隠しても、家が潰れれば机も潰れる可能性があります。

■玄関に行ってドアを開け避難路確保

玄関に行ってドアを開けます。地震で家が変形すればドアも変形する可能性があるからです。
そしてストッパーやサムターンで閉じないようにしてから靴を履きます。倒壊の危険があれば外部へ脱出します。
ただし、古い木造家屋の2階にいたら、あわてて1階に降りない方がよいでしょう。家が潰れても2階は空間ができやすく、助かる率が高いのです。

地震から命を守る行動(外出中)

■市街地にいたら・・・

外出中、緊急地震速報を受信した時、地震の揺れを感じた時・・・。
市街地であれば、ガラスや壁などが落下してくる恐れがありますので、バッグなどを頭の上に掲げ、建物から離れ、姿勢を低くして揺れが収まるのを待ちます。
車が暴走する恐れがあるので車道に飛び出すと危険です。歩道が狭く密集地などで建物から離れられない場所であれば、安全そうな建物の中に避難させてもらいます。店舗内にいたら、ガラスや商品棚から離れ、バッグや買い物カゴを頭にかぶり少しでも広いスペースに移動し、姿勢を低くして揺れが収まるのを待ちます。

■電車・バスに乗っていたら・・・

電車やバスに乗っている時、緊急地震速報を受信した時や地震の揺れを感じたら、大揺れに備え、つり革や手すりに掴まるか、できるだけガラスから離れ姿勢を低くして揺れが収まるのを待ち、係員の指示に従います。

■車に乗っていたら・・・

車に乗っていたら、ハザードランプを点滅させ、前後の車に注意しながら徐行し、路肩に停車します。できるだけ斜面や橋梁から離れましょう。
避難する時はできるだけ駐車場や広場に停車し、車のキーと連絡先メモを室内に残し、車検証を持って、ドアをロックしないで徒歩で避難します。

水害・土砂災害から命を守る行動

■警戒情報が発表されたら「明るいうちに、念のため避難」

ハザードマップで自宅が1m以上の浸水想定区域、土砂災害警戒区域、河川流域の家屋等損壊氾濫区域に指定されていたら、そこは大雨危険区域です。洪水、土砂災害における犠牲者の大半は逃げ遅れによるもの。避難のタイミングは自治体からの避難情報(5段階警戒レベル※)や気象情報が目安です。高齢者等避難情報(レベル3)発令大雨警報河川の氾濫警戒情報土砂災害警戒情報が発表されたら、最悪に備え「明るいうちに、念のため避難」することを家族で決めておきましょう。
※「警戒レベル4」で危険な場所から全員避難!警戒レベルを「政府広報オンライン」で確認しておきましょう。

2階が安全とは限らない。
危険区域では、早期避難が原則

大雨の時、メディアは「2階以上の安全な場所に避難してください」と呼びかけます。すると「大雨の中、避難はおっくう、いざとなれば2階へ逃げればいい」と安易に考える人もいます。
しかし、地形などによっては2階が絶対安全とは限りません。
2020年8月、長野県岡谷市で母子3人が2階で死亡。裏山の崖と家の高さがほぼ同じで、就寝中に大量の土石流が2階の窓を突き破って流れ込んだのです。また、24年9月の奥能登豪雨では、川が氾濫し家ごと流された女子中学生が犠牲になっています。痛ましい限りです。危険区域では明るいうちの早期避難が原則です。

※この記事は、都道府県民共済グループ発行「命を守る防災ハンドブック」の抜粋です。
内容は、執筆時点2025年7月30日のものです。

山村 武彦(やまむら たけひこ)
防災システム研究所所長。新潟地震(1964年)を契機に、防災・危機管理のシンクタンク「防災システム研究所」を設立。以来50年以上にわたり、国内外で発生する災害の現地調査を行っている。多くの企業や自治体の社外顧問やアドバイザーを歴任。著書多数。

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